《花を描く人》
時計まわりにしたがって、朝顔が次々と花を咲かせているのを確認する。その日の栄養を得るために、反時計まわりに絡まるツタ、繁る葉。生殖をもって永遠に手をのばす花咲くシステム。そのどちらもが一つの鉢に納まって、ベランダにある。置いたのは私だ。
葉やツタを見つめ知るのは今日で、花を見つめ知るのは花のない明日だ。
また別のある朝、永遠がやってくる。私はそれを見つめ、描き、また別の永遠をたくらむ。



(2018年、絵画検討会2018「植物園の描き方」展にて発表。書籍『21世紀の画家、遺言の初期衝動 絵画検討会2018』収録) (C)高田マル / Takada Maru 2020. All rights reserved. 無断転載を禁止します。